プラチナ消粉を使う時って?
金継ぎは金だけで仕上げるものではなく、いろいろな金属の仕上げ粉があると知っていましたか?
プラチナ消粉は、プラチナ/白金を主成分とした粉末で、修理後の器の景色に新たな選択肢を与えてくれます。金ではなく「プラチナ」で仕上げることで、修復後の器に控えめな高級感と、シックな色合いの独自の美しさがあります。
陶磁器の修復だけでなく、漆器に蒔絵をする時にも、プラチナ消粉を使用できます。
プラチナが似合う器?
▲ 本銀消粉の上に、プラチナ消粉で蒔絵
アスティエ ド ヴィラット(Astier de Villatte)やウェッジウッド(WEDGWOOD)などの白い洋食器に、プラチナ消粉仕上げがよく似合い、選ばれることが多いです。もちろんお好みで、どの器にでもご使用いただけます。
銀とプラチナの違い
プラチナは銀と色が似ていますが、隣に置いて比較すると、やや深い色味です。銀消粉はシルバーアクセサリー同様、色が経年変化する特性を侘び寂びという美しさと捉え、和食器に銀を施すことが多いです。一方プラチナ消粉は経年変化に強く、色が変わりにくいため、洋食器にオススメします。同じ理由から、ガラスを修理するときにも、銀ではなくプラチナをおすすめします。
プラチナ消粉で仕上げる方法
黒漆または白漆を塗った上にプラチナ消粉を蒔いて仕上げるのが一般的です。(黒漆または白漆の上で、プラチナの発色がより良くなります)
つまり、仕上げの順番は以下のように、金継ぎと逆にするのが良いです。
・金継ぎの場合:Step4黒漆で中塗り→Step5弁柄漆を塗って、金蒔き
・プラチナ継ぎの場合:Step4弁柄漆で中塗り→Step5黒漆(または白漆)を塗って、プラチナ蒔き
黒漆は、つぐキット付属の生漆と黒粉で作ることができますし、チューブ入りを別途購入することも可能です。白漆は別売りになります。
消耗が早い仕上げ粉
0.3gでどれだけ修理できる?
金継ぎを続けたいけど、仕上げの金属粉がなくなってしまった…そんなあなたに、プラチナ消粉の別売りはおすすめです。
▼参考:金属粉 0.1gで仕上げの粉蒔きができる長さ(約22cmの手板の8本分=176cm)
プラチナ消粉0.3gは理論的には写真の3倍蒔くことができます。しかし初心者は、より多く金属粉を消耗する傾向があります。写真はプロの使用量なのであくまで参考として、理論値の半分〜3分の1くらいを目安にお考えください。
真綿をセットにしている理由
真綿は、使う金属粉ごとに専用で分けて使ってください。例えば、金粉の仕上げに使った真綿は、プラチナ粉の仕上げには使わないようにしましょう。
多くの初心者さんは、金属粉を蒔く仕上げで真綿を使った時に、漆が真綿に直接ついてしまって、真綿がカチカチになることがあります。カチカチの真綿で次の仕上げを行うと、漆を引いてしまい失敗の原因になります。真綿に柔らかさがなくなってしまったら、新しいものに取り替えていただけるよう、セットにしました。
しかし真綿がプラチナ消粉を吸い込んでプラチナ消粉の色になっていくのは、問題ないです。真綿が柔らかいのであれば、できるだけ、プラチナ消粉が付着した面にさらにプラチナ消粉をつけて、仕上げのプラチナ蒔きを行ってください。そうすることで、プラチナ消粉の消耗を抑えることができます。もしあなたが、いつも真綿の新しい面(白い部分)ばかりでプラチナ消蒔きしていたら、真綿が必要以上に粉を吸い込んで、プラチナ消粉の消耗が早くなります。プラチナ蒔きにちょうど良い「指でつまめる」サイズの真綿をセットにしているのは、あなたのプラチナ消粉の消耗を抑えるためです。
それでも、もっとたくさんの真綿が欲しいと思ったら、別途、真綿だけも販売しています。この商品は、つぐキットに付属の小分けの真綿の約10倍量です。この大きい真綿から、少しずつちぎって、ご使用いただくこともできます。