金継ぎが格段に早くキレイにできる
裏技
金継ぎキットには生漆が付属しており、黒めた生漆と色粉を混ぜて黒漆を作ります。しかしこの黒漆さえあれば、自分で黒漆を作る手間が省けて、毎回約15分時短になります!
▲ この約15分の作業が省かれます(生漆の黒め〜黒粉を入れて練り混ぜる)
金継ぎで黒漆を使う工程は、Step4の「塗り」です。黒漆は何度も塗ることがあるので、このチューブがあると、すぐに作業に取りかかれます。
黒漆は金継ぎ初心者〜上級者まで幅広く使えます。黒漆による金継ぎの中塗りは、防水の役目と、継ぎ目の凹凸をなめらかにする重要な役目があります。
どうして「つぐキット」に
黒漆チューブを付属してないの?
この黒漆は、初心者から上級者まで幅広く使用できるように設計されています。そしてプロの金継ぎ師は全員、この黒漆チューブ入りを使っています。では、どうしてつぐキットに付属していないのか?疑問に思われる方がいるかもしれません。プロの金継ぎ師は当然、つぐキットに付属の生漆を黒めて、黒粉や弁柄粉を入れて練り混ぜ、黒漆・弁柄漆を自分で作ることもできます。このプロセスは超基本なので、知っておかなければなりません。しかし、プロ金継ぎ師は毎日数十個もの金継ぎを行うため、1分でも早く作業を完了するために、色漆のチューブを購入して、毎日使用しています。
つぐキットにこの黒漆チューブを付属していない理由はもう一つあります。それぞれの色漆のチューブタイプをつぐキットに付属するとお値段が非常に高くなってしまうのです。初心者の皆様が金継ぎを始めやすいお手頃価格でご提供したかったため、全ての色漆の大元になっている「生漆」1本を付属し、それぞれの色漆はご自身で作っていただく(あるいは、継続して金継ぎされる方に別途購入していただく)仕様にしました。またそれぞれの色漆をつぐキットに付属してしまうと、1年の使用期限があるので、1年後に漆が余って捨てる量も増えるでしょう…。
このような理由から、初心者の方のことを考え、金継ぎをたくさん行う人のために別途この商品を購入いただけるようにしました。
黒漆を使う作業とは?
黒漆は金継ぎの「中塗り」という作業に使用されます。器の凹凸を滑らかにし、防水効果を持っています。これにより修復した器が再び使用可能になるだけでなく、この中塗りを何度も繰り返し行うことで、継ぎ目の表面が平らになり、金や銀で仕上げた時に見た目がより美しく仕上がります。この黒漆チューブは使いやすさも考慮されており、チューブタイプであるため、必要な量だけを簡単に取り出すことができます。作業中の無駄を省き、効率的な金継ぎ作業が可能になります。
色漆のチューブタイプには、黒漆・弁柄漆・白漆がありますが、この黒漆は最も出番と使用量が高い商品になります。
銀・プラチナ仕上げを
検討中の方へ
器の色に合わせて、銀粉を使った「銀継ぎ」・プラチナ粉を使った「プラチナ継ぎ」をされたい方へ。仕上げの下地の漆として、黒漆あるいは白漆を塗ると、銀・プラチナの発色がよくなると昔からいわれています。また最後に銀・プラチナ粉を蒔かずに、黒漆だけで仕上げる方法は「闇継ぎ(やみつぎ)」とも呼ばれます。この技法は、黒い器に黒漆を施すことで破損した部分が目立ちにくくなり、シックな仕上がりを実現します。黒漆は縄文時代から土器に塗られており、歴史が長く、日本の伝統的な「黒」に対する美意識を反映しています。
黒漆の取り扱いの注意
黒漆は天然の漆を使用しており、皮膚に触れるとアレルギー反応を引き起こしてかぶれる可能性があります。金継ぎ作業中は終始必ずゴム手袋を着用することが推奨されています。またゴム手袋は使い回しせず、一回きりの作業で捨てましょう。少量の漆が付着しているだけで、かぶれの原因になります。もし皮膚に付着した場合は油で拭き取った後に、石鹸と水で洗い流してください。万が一かぶれたら、医師にご相談ください。
金継ぎや漆塗りで漆を乾かすには、漆風呂(うるしぶろ)・室(むろ)と呼ばれる、高温多湿(温度20〜30℃、湿度70〜85%)の環境下に長時間置いておく必要があります。使用期限が切れたり、高温の場所に放置して劣化した生漆は、このような環境下に置いておいても、乾きにくくなります。
使用期限は、通常の漆と同じく、製造から1年です。期限が近づくと乾きが遅くなるため、使い切れる量を購入するか、毎年新しいものに買い換えることが推奨されています。そのためつぐつぐでは、ちょうど良い20gを採用しました。キャップを開けていなくても、使用期限は1年です。使用期限が切れた商品を使用し続けると、失敗の原因になります。もったいなくても破棄しましょう。
また高温を避け、20度以下の光の当たらない冷暗所で保管してください。30度近い場所に保管すると、品質が劣化し、乾きにくくなり、失敗の原因になります。特に夏場は冷蔵庫での保管するのも良いでしょう。 ただし冷凍庫は禁物で、漆は凍ると乾かなくなってしまいます。
黒漆の次に使われる漆として、色違いの弁柄漆(金で仕上げる用)のチューブタイプもあり、金仕上げにおすすめです。
最後に
この黒漆は天然素材で作られているため、安全性も高く、食器として再利用する際にも安心です。日本国内外で人気があり、多くの人々がこの製品を通じて金継ぎの魅力を体験しています。つぐつぐの黒漆チューブは、その機能性、美しさ、安全性から、多くの金継ぎ愛好者に支持されていますが、生漆よりさらにニッチな商品のため、この単品販売は、実は当社にとって労力がいるものです。それでも金継ぎファンの皆様が金継ぎをより楽しんでいただきたいので、これからもできるだけ継続して販売していきたいと思っています。