知っておくべき生漆の常識
つぐつぐの生漆は100%天然の漆で、抗菌作用があるとされています。コロナ禍には、漆には抗ウイルス作用があるのではないかという可能性も示唆されました。合成接着剤やエポキシなどの化学製品と違い、口に触れる食器にも安心して使えます。
一方、生漆は生モノでもあるため、使用期限は1年といわれています。期限が近づくと乾きが遅くなるため、使い切れる量を購入するか、毎年新しいものに買い換えることが推奨されています。そのためつぐつぐでは、金継ぎにちょうど良い30gを採用しました。キャップを開けていなくても、使用期限は1年です。使用期限が切れた生漆は、もったいなくても破棄しましょう。
また高温を避け、20度以下の光の当たらない冷暗所で保管してください。30度近い場所に保管すると、チューブ内の生漆が膨張し、チューブから漏れる原因になります。特に夏場は冷蔵庫での保管するのも良いでしょう。 ただし冷凍庫は禁物で、漆は凍ると乾かなくなってしまいます。
生漆は皮膚に付くとカブレる可能性があるため、金継ぎや漆塗りでは、終始必ずゴム手袋を着用して作業を行うことが推奨されています。またゴム手袋は使い回しせず、一回きりの作業で捨てましょう。少量の漆が付着しているだけで、かぶれの原因になります。もし皮膚に付着した場合は油で拭き取った後に、石鹸と水で洗い流してください。万が一かぶれたら、医師にご相談ください。(たいていは数週間で治り、痕も消えます。)
金継ぎや漆塗りで漆を乾かすには、漆風呂(うるしぶろ)・室(むろ)と呼ばれる、高温多湿(温度20〜30℃、湿度70〜85%)の環境下に長時間置いておく必要があります。使用期限が切れたり、高温の場所に放置して劣化した生漆は、このような環境下に置いておいても、乾きにくくなります。
余った生漆を捨てるのをもったいなく感じる人へ
古い漆は再利用できないのでしょうか? 古くなった生漆はそのままでは使用できませんが、新しい生漆と混ぜることで再利用可能です。具体的には、新しい生漆に古い漆を約3割混ぜることで、乾燥が遅くなる特性を活かした塗り方ができます。しかしこれは上級者のテクニックなので、初心者は古くなった漆を置いておかず、破棄して新しいものに買い換えることをおすすめします。
金継ぎは意外にもあまり材料を使いません。(割れた破片同士の「スキマ」だけに塗るので!)そこで、使用期限が迫ってきて、まだたくさん余っている生漆をなんとか使い切りたいあなたには、金継ぎではなく、木の製品に塗ることをオススメします。先がハゲてしまった木製のお箸をお持ちではありませんか?そんな時、生漆を筆でちょこっと塗って、ティッシュで拭いて、漆風呂で乾かしてください。それを何度か繰り返すことで、お箸の先が天然の漆でコーティングされて、補強されます。
木に漆を塗ってみたい方、木製品や漆器に金継ぎできるか気になる方には、注意がありますのでこちらの記事をどうぞ。
よくある質問
Q. この生漆でガラスも金継ぎできますか?
A. できません。ガラスを修理したい場合は、ガラス用漆をお買い求めください。
Q. チューブのキャップを開け閉めするたびに漆が固まって、キャップが開きにくくなり、最終的にはチューブが破れそうです。
A. 以下のように、容器を移し替えて使用できます。
チューブから生漆を全部、磁器の湯呑みやお碗へ移し替えて、漆が空気に触れないよう、漆に触れるピタピタのラインにラップで蓋をしてください(落し蓋のような感じです)。生漆に限らず、他の漆も、チューブから器に移し替えて蓋をすることで使い続けることができます。
落し蓋を開けてヘラで取り出せば、漆を使い切るまで使えます。漆を入れた湯呑みは、漆がなくなったら、水をたっぷり入れたバケツに一晩以上つけておけば、漆がツルッと取れて、また使えます。成分が分離することがあるので、少しかき混ぜてから取り出すとなお良いです。必要な分取り出したら、また漆が空気に触れないようにラップで蓋をしてください。