漆芸用色粉セット(黒・弁柄粉)は、金継ぎや漆芸において非常に重要な役割を果たす材料です。このセットには、黒粉と弁柄粉が各約3mlの小瓶に入っており、つぐキットにピッタリ入るサイズ。特に金継ぎを楽しむ方に最適です。
黒粉と弁柄粉の役割
黒粉: 酸化鉄から作られた顔料で、漆と混ぜることで黒漆を作成します。黒漆は器の継ぎ目や欠けた部分に塗布することで防水効果を発揮し、強固な修復を可能にします。また、何度も塗り重ねることで表面が平らになり、美しい仕上がりを実現します。
弁柄粉: 朱色の顔料で、同じく酸化鉄から作られています。弁柄漆は器の破損部を金で仕上げる際に使用され、最後に塗布することで金粉を定着させる役割があります。弁柄色の上で金は美しく発色し、視覚的にも魅力的な仕上がりになります。
色粉セットの特徴
使いやすさ: 小瓶に入ったサイズは、つぐキットにぴったり収まるため、持ち運びや保管が簡単です。また、必要な分だけを取り出して使用できるため、無駄が少なく経済的です。
安全性: 自然素材のみを使用しているため、昔から漆芸に利用されており食器にも安心して使用できます。
漆芸用色粉の使用方法
漆芸用色粉セット(黒・弁柄粉)の使用方法は、以下のステップに従って行うことができます。
準備: 色粉を使用する前に、必要な道具(筆、パレット、へら、さじなど)を用意します。使用する器や道具はエタノールなどで油分を除去して清潔にし、作業スペースを整えます。
生漆の精製:生漆をパレットに出し、ヘラで広げます。水分を蒸発させるように、ヘラでゆっくり撹拌します。出した生漆の量によりますが、5〜10分ほど撹拌を続けると、生漆が透明感のある飴色になります。この精製作業を「クロメ」といいます。パレットの真ん中に、クロめた生漆を集めます。
色粉の混合: 小瓶から必要な量の黒粉または弁柄粉を取り出し、精製した漆と混ぜます。混合比率は、使用する漆の種類や目的によって異なりますが、一般的には、1対1よりやや少ない粉の量になるよう、少量ずつ加えながら調整します。
塗布: 混合した漆を筆や刷毛で器の修復部分に塗布します。黒漆は主に接合部や欠けた部分の錆漆の上に塗り、防水効果を高めます。弁柄粉は金粉を蒔く前の下地の地塗りとして使います。地塗りの場合は、「かすれる手前くらい薄く」塗るのがポイントです。
仕上げ: 金粉を蒔く場合は、薄く塗った弁柄漆の上から、優しく金粉を蒔きます。
乾燥: 漆が完全に乾燥するまで、漆風呂に入れて待ちます。乾燥時間は環境によって異なりますが、数日かかります。
保管: 作った色漆は、空気に触れないよう食品用ラップなどで密封し、湿気や直射日光を避け冷暗所で保管することで、約1週間は繰り返し使うことができます。
色粉を漆と混ぜるときの注意
主に中塗りで使用する黒漆・仕上げの地塗りで使用する弁柄漆は、生漆の精製(クロメ)をしたあと、黒や弁柄の色粉を混ぜて作ることができます。精製していない生漆に、色粉を直接加えて混ぜてはいけません。
金継ぎ作業を手早く行いたい方には、すでに作られた黒漆、弁柄漆のチューブ入りも販売しています。
金継ぎで「金」を消耗した時の秘策
金継ぎは金粉や銀粉で仕上げる以外にも、黒色や弁柄色などの色漆のみで仕上げることもできます。シックな和食器など、色のお好みに合わせて、様々な金継ぎをお楽しみください!