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その道具、なんで必要なの?金継ぎ道具・材料の用途を徹底解説!

金継ぎには、たくさんの道具・材料が必要です。少なめに言って、合計18種類。また、特殊な材料も多く、一つ一つの量が多いことがあるので、初心者が全て自分でそろえるのは大変。

そんな初心者さんへの救世主。ベストセラーの金継ぎキット「つぐキット」には、この18種類の金継ぎに必須の道具・材料が入っています。うち、11種類は金継ぎ作業で消耗してなくなるもの、残り7種類は繰り返し使えるお道具です。

つぐキットに含まれる道具・材料ですが、それぞれ「どういう用途で使うの?」と、たびたびお問い合わせいただくことがあるので、以下にまとめました!

つぐキットに含まれる道具・材料とその用途

金継ぎに必要な消耗品

口につける食器など、割れた陶磁器を修理して再び使えるようにするのであれば、口につけても安心な材料を用いるべきです。つぐキットは、昔から用いられてきた自然の材料のみを使用しており、お子様が使う食器にも安心です。

これらの消耗品がなくなったら、ほとんどの商品はつぐつぐのオンラインショップで買い足すことができます。また東京にあるつぐつぐの2店舗では、全ての道具・消耗品を販売しており、なくなっても安心です。

それでは、金継ぎで消耗する自然の材料について、どの用途を解説します。

① 生漆

日本や中国に自生する漆の木から採取された樹液です。金継ぎでは、割れた器の接着や、ヒビを固めたり、破損部の防水のために使用し、全工程で必要となる天然素材です。製造から1年経つと、生漆は乾きにくくなり、金継ぎの失敗につながるので、開封・未開封にかかわらず1年以内に使用し、新しいものに交換することを推奨します。また未開封の漆や、温度が高いところに保管していた場合は、漆は天然物なので膨張し、チューブから漏れる原因になるので、1年経ったら破棄してください。

② 金粉・(銀粉)

金継ぎの最後の仕上げに使用します。最後の工程で、漆の上に金粉を蒔いて仕上げるため、器が金で繋がれたように見えます。実際には、継ぎ目の表面のみに金粉が付着しています。つぐキットに含まれる金粉は、初心者が扱いやすい「金消粉」と呼ばれるタイプで、23金です。金継ぎキットの中でもっとも高価な材料で、消耗も早いです。使い切ったら、別売りで金粉を購入できますが、金以外の仕上げ(銀や、金属を使わない黒漆・弁柄漆など漆仕上げ)を選べば、金粉を追加で買わなくても器の修復を長く続けることができます。

つぐキット金・つぐキット金増量には、金粉のみが仕上げの金属粉として入っていますが、つぐキット金銀・つぐキットプレミアムには、金に加えて銀粉も入っています。

銀粉は、錆びにくい「金」と違い、シルバーアクセサリーのように経年変化で黒くなっていく特徴があります。和食器をあえて銀粉で仕上げて、その経年変化を楽しむことができます。金を選ぶか、銀を選ぶかは、お好みです。例えばブルーの柄入りの器を銀で仕上げると、涼しげな印象になります。どちらの仕上げでも修理の難易度は変わりません。

つぐつぐでは、金消粉・銀消粉・プラチナ消粉・代用金粉を別売りで販売しています。

③ 木粉

細かい「おがくず」で、大きく破損した器の深い欠け部分を埋めるために、硬いパテを作る際に使用します。職人によってパテの作り方は異なりますが、この硬いパテを刻苧(こくそ)と呼びます。

④ 砥粉

砥石を削った際に出る粉で、錆漆(さびうるし)を作る際に使用します。錆漆は、砥粉と水と漆を混ぜて作ります。金継ぎの工程の中頃に用いられ、細かい凹凸を埋めて、乾燥後には水研ぎして平らな表面を作ります。

⑤ 黒粉

酸化鉄でできた黒い顔料で、漆と混ぜて黒漆を作るために使用します。継ぎ目や欠け部分に錆漆の上から塗ることで防水効果を発揮し、強固な修復を可能にします。黒漆は一度ではなく、何回も塗り重ねると、表面がより平らになり、きれいに仕上がります。もしあなたが、金継ぎを銀粉で仕上げたい場合は(「銀継ぎ」といいます)、弁柄漆と黒漆の塗る順番を逆転させて、最後に黒漆を塗った上から銀粉を蒔くと、より銀が輝き、美しく仕上がります。金継ぎは必ず金や銀などの金属粉で仕上げなければいけないわけではなく、黒漆で黒くシックに仕上げてもいいですし、あなたの器の色に合わせて仕上げてください。そのときは、塗った後、耐水ペーパーで研がずに塗りっぱなしで仕上げてください。

▲ 黒粉と次の弁柄粉は、お得にセット販売しています

⑥ 弁柄粉

お寺の鳥居は朱色ですが、これは弁柄漆が塗られているって知ってました?

弁柄粉は酸化鉄から作られた朱色の顔料です。漆に混ぜて弁柄漆を作り、器の破損部を金で仕上げたい場合に、最後に塗り、その上から金粉を蒔くことで金粉を定着させる役割があります。金の輝きを放った金継ぎが完成します。なぜ最後に弁柄漆を塗るかというと、2つ理由があります。
1つ目の理由は、金は弁柄色の上で美しく発色すると言われているからです。
2つ目の理由は、弁柄漆を塗る前は黒漆を何度か塗り重ねた状態ですので、黒とは別の色を塗ることで、最後に弁柄漆を塗った箇所の塗り残しがはっきりとわかるからです。最後の弁柄漆による仕上げの塗りは、はみ出してもいけず、黒漆を塗った幅より狭くてもいけず、丁度の幅で塗る必要があるのです。
黒粉も弁柄粉も、漆と混ぜて色漆にしますが、金継ぎは必ず金で仕上げなければいけないわけではなく、銀で仕上げることもできます。何色の仕上げにするかはお好みで決めてください。もしあなたが銀粉で仕上げたい場合は、弁柄漆と黒漆の塗る順番を逆転させて、最後に黒漆を塗った上から銀粉を蒔くと、より銀が輝き、美しく仕上がります。金継ぎは必ず金や銀などの金属粉で仕上げなければいけないわけではなく、あなたの器の色に合わせて、弁柄色が似合うようであれば、弁柄漆を塗って仕上げても大丈夫です。そのときは、塗った後、耐水ペーパーで研がずに塗りっぱなしで仕上げてください。

⑦ サンドペーパー

割れた破片の角を整えたり、乾燥したパテを研いで器と同じ高さにする際に使用します。水を使わずに研ぐタイプです。つぐキットでは荒さ320番を使用しています。

⑧ 耐水ペーパー

乾燥した錆漆や黒漆を水研ぎする際に使用します。つぐキットには荒さ1000番の耐水ペーパーが含まれています。

⑨ 真綿

真「綿」と書きますが、繊細な仕上げを行う時に使うため、シルクでできています。とても細かい金・銀消粉による仕上げのために、弁柄漆の上に金粉を蒔く際に使用します。既にゴミがとってある状態で、つぐキットに付属されています。真綿にゴミがついては綺麗に仕上がりませんので、使用前も後も必ず付属の袋に入れて保存してください。真綿は金属粉の種類によって、使い分けてください。金消粉で仕上げる場合には、金消粉用の真綿を、銀には銀用の真綿といった具合に、分けてください。

⑩ マスキングテープ

割れた器を麦漆で接着したあと、固定するのに使用します。また、ザラザラした器の表面に漆がつくとシミになって取れなくなるので、漆の汚れがつかないように器の表面に貼って保護するときにも使用します。

⑪ ゴム手袋

つぐキットには、最初1セットだけゴム手袋が入っていますが、必ず買い足してご使用ください。金継ぎでは漆を使用しますが、漆が手に漆が皮膚につくと、かぶれる可能性が高いためです。絶対に漆を触らないように、金継ぎの作業中は常にゴム手袋をして、皮膚を保護する必要があります。一度使ったゴム手袋は、使い回しせずに毎回捨てて新しいものを使用してください。つぐキットに入っているゴム手袋は、ラテックスアレルギーの方のために、ラテックスフリーのものを使用しています。また中に粉が入っていないので、作業後に粉が飛び散る心配もありません。

金継ぎで繰り返し使える道具

① 面相筆

黒漆や弁柄漆を割れた器の継ぎ目や欠けの上に塗るのに使います。
画材屋さんに色々な筆が売られていて迷うと思いますが、繊細な金継ぎには、形状記憶の筆先のこの面相筆が断然使いやすいです。とはいえ、金継ぎで筆はよく使うので、傷んだときのために単品購入したいというお声があって、面相筆だけをオンライン販売しています。細い線にも太い欠け表面にも、両方に塗りやすいちょうど良い太さです。
もっと細い線を描きたい方には、別途「極細 蒔絵筆(まきえふで)」も販売しています。

② プラスチックへら

割れた破片の断面に麦漆を塗って接着するときや、欠けを埋める刻苧・細かい凹凸をを埋めるための錆漆など各種の材料をパレットの上で混ぜ合わせるのに使います。

③ 竹へら

竹を職人が一本一本切り出して、金継ぎで使用するのにちょうど良い形に整えてつぐキットのために作られています。硬いパテである刻苧を、深い欠けに埋めるときに最適です。また錆漆で細かい隙間や凹凸を埋めるときにも使用します。
(錆漆のような柔らかいパテを器に塗るときには、竹へらより、別売りの「よくしなるへら」が使いやすく、おすすめです)

④ さじ

木粉や砥粉、黒粉、弁柄粉を小瓶から取り出す際に使用します。

⑤ パレット

材料を混ぜるためのアクリル製パレットで、持ち運んでも割れにくい仕様になっています。最初は両面に保護フィルムが貼られているので、剥がしてからご使用ください。
ずっと使用していると表面に傷がついて漆がこびりつきやすくなるので、買い替えたいという方のためにオンライン販売を開始しました。

⑥ スポイト

麦漆・刻苧・錆漆を作る際に、水を少量加えるために使用します。

⑦ 手順書

つぐキットを使って金継ぎするのに必要な手順と情報が入っています。表からは日本語、裏からは英語で書いてあるので、日本人でも海外の方でも金継ぎができます。金継ぎは複雑な工程なのですが、初心者でも挑戦できるようにシンプルに5工程にまとめています。もちろん金継ぎは、とても深い世界なので、たくさん伝えたいこと・気をつけることはあるのですが、あまり神経質にならずにまずは挑戦できるよう、短くまとめています。
手順書に載っているQRコードからYouTube動画を事前に見てから金継ぎを始めると、視覚的にイメージを膨らませることができて、より成功しやすいというお客様の声があります。金継ぎをやってみて、もっと奥深く知りたい方は、2024年現在、YouTubeライブ・インスタライブで、直接つぐつぐの金継ぎ師に困ったことを質問できる機会もありますので、ぜひご活用ください。

「手順書を無くしてしまった…!」というお客様のご要望から、オンラインで販売を開始しました。

金継ぎキット買った方が早いよね?!どのキットがいい?購入時によくある質問

ここまで読んでわかったように、金継ぎに使う道具や材料を1つ1つ購入するのは大変。入手が難しい伝統的な道具をどこから仕入れていいか分からないし、時間もかかるし、送料もかかるし、単品を買うと1つあたりの量が多すぎて使い切れない…コスパが悪すぎます。

そのため私は、初心者はまず最初に、全ての材料が最低限含まれている金継ぎキットを購入するのを最もオススメします!そして、材料が消耗したら、つぐつぐのショップサイトで買い足せば良いのです。

東京に2店舗で金継ぎ教室を開いているつぐつぐが販売している金継ぎキット「つぐキット」は、4種類あります。
「どのキットが自分にあっているかなぁ?」と、よくお問い合わせをいただきます。

実は、4キットに含まれる道具・材料は全て同じで全て初心者用。違いはたった1つ。
「金粉・銀粉の量」のみ!
あなたがどれだけ多くの割れた器を持っているかで、決めてください!
迷ったら、一番安い「つぐキット金」を買ってみてください。金粉が0.1gだけ入っています。
消耗したら、金粉だけをオンラインショップで購入できます!

このつぐキットは、お手頃な価格におさえるために、初心者が必要な最もシンプルな材料・量だけがセットになっていますが
「たくさん金継ぎしたい!」「もっと美しく仕上げたい!」というあなたには、
金継ぎがさらに上手に早くできる別売りのグッズも販売しています!

ぜひつぐつぐのショップサイトから、あなたに合った商品を見つけてみてください。

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