金継ぎで仕上げに使われる金属粉について、「金粉以外で食品安全性が保証されているものはある?」という疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、当社が販売する金属粉だけでなく、一般に売られている金属粉も含めて、安全性やコスト面を考慮した選択肢を詳しくご紹介します。
食品安全性が保証されている金属粉は?
当社で取り扱っている金属粉の中で、食器に使える食品安全性が保証されているものは、高額な順に金粉、プラチナ粉、銀粉の3種類です。この中で、最も単位当たりの金額が安い選択肢は、「銀粉」です。ただし金粉、プラチナ粉と違い、色の経年変化が起きます。
一方、値段はメーカーにより大きく異なりますが、銀粉よりさらに安価なものとして、一般に売られている真鍮(しんちゅう)粉(1g約30〜300円)、銅粉(1g約25円)、錫(すず)粉(1g約60円)があります。これらは食品安全性の試験が行われていません。しかし銅粉や錫粉は伝統的に金継ぎで使われてきた歴史があります。またこれらの金属粉は、色の経年変化がさらに起きやすいです。
この中でも、真鍮粉を使う場合は、とりわけ注意が必要ですので、次にご紹介します。
真鍮粉を金継ぎに使う際の注意点
市場には非常に安価な真鍮粉が多く出回っていますが、これらには消費者が知らない添加物が含まれていたり、成分が不明なことがことが多く、場合によっては健康リスクを伴う可能性があります。メーカーによって成分が異なりますので、十分に注意してください。
当社で販売している真鍮粉も、銅と亜鉛に加えて必要な添加物を含む製品であることをメーカーに確認していますが、実際のところ食品安全性の試験は実施されていないため、食器に使うことは保証できません。
金属粉を使わない金継ぎの仕上げの選択肢
もし食品安全性とコストの両方を重視したい場合、金属粉を使わない仕上げ方法も検討してみてください。例えば、色漆で仕上げる方法や、割れ目に漆を染み込ませる「拭きうるし」の技法があります。これらの方法では、見た目は金にはなりませんが、修理されてまた使えるようになりますので、特に家庭用の食器におすすめです。
金粉やプラチナ粉は特別なアイテムに使用するなど、大切な作品に限って使うのも一つの方法です。
粒子サイズの違いが金継ぎの仕上がりに与える影響
当社で販売している金粉、銀粉、プラチナ粉、真鍮粉は非常に細かい粒子サイズで構成されており、市場で一般的に出回っている粗い粒子の真鍮粉、銅粉、錫粉に比べて、修復部分の細かい不完全さを際立たせることがあります。そのため、金継ぎを集中的に練習し、ご自身の技術の向上を確認したい場合は、当店の細かい粒子の金粉、銀粉、プラチナ粉、または真鍮粉を仕上げに使用し、その仕上がりの質を評価することをおすすめします。(言い換えると、粒子の粗い市販の金属粉で仕上げると、仕上げの凹凸が目立たなくなり、あたかも自分が上手にできたと錯覚してスキルの上達度合いがわかりにくいです。)
金継ぎを食器以外のものに行ったり、修復後の器を観賞用として飾るだけで食器として使わないのであれば、市販の粒子が粗い金属粉を使っても問題ありません。そのほうが仕上がりがきれいに見えることもあります。
食器に安全な金属粉のまとめ
食器に安全で価格が最も安い仕上げ粉を探している方には、銀粉が最も適した選択肢です。もしさらにコストを抑えたい場合は、色漆での仕上げや拭きうるしを検討してください。真鍮粉や他の金属粉を使用する際は、その性質や安全性を十分理解した上で使用しましょう。
コストを抑えて金継ぎを続けたい方は、とりわけ大切な器のみ金粉やプラチナ粉で仕上げるなど、優先順位を決めておくのも良いでしょう。他の金属粉と違い、金粉やプラチナ粉は安全性だけでなく、色の経年変化にも強いです。また金継ぎを上達させたい方の練習用には、当社が販売する4つの金属粉のいずれかを使い、細かい粒子で金継ぎの美しさを存分に楽しんでください。
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